■労基法7つの原則
■労基法原則1―労働条件の原則―
では、まず1つ目の労働条件の原則からです。
労働条件の原則は、下記の2つからなっています。すなわち
「人たるに値する生活」の保障
労働条件の低下の禁止
です。
まず、一つ目の「人たるに値する生活」の保障についてですが、
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでならない。 (労基法1条1)
と定められています。これは、日本国憲法25条の最低限度の文化的な生活を営む権利の理念によるものです。
この労働条件には賃金以外にも、例えば休憩時間や労働時間、解雇、安全衛生などを全て含む概念です。
この項目こそが、労働関係の法律の中でもっとも重要な法律と言われている労基法の中でももっとも重要な原則と言っても過言ではありません。
「人たるに値する」条件については例えば地方ごとの最低賃金や、休憩時間の原則などによって他に細かく定められています。
次の労働条件の低下の禁止ですが、
この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。 (労基法1条2)
と定められています。
例えば、会社がフリーターの人に「いま君は時給1200円で働いているけど、法律では最低1000円でいいらしいから、明日から君の時給は1000円ね。文句あるならやめていいから」
と言うのは違法です。労基法の条件はあくまでも最低基準なので、法律を理由とした労働条件の低下は認められません。
とはいえ、会社の経営悪化などによる、給料など労働条件の引き下げは違法ではありません。
また、労働条件を向上させるようにすることはあくまでも努力義務なので、
労働条件がずっと同じであること自体は違法では無いのでご注意ください。