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■安衛法について

皆様は労働安全衛生法(以下安衛法)をご存知ですか?
労基法ですとか、労働契約法については名前を聞いたことがある方も多いでしょうが、
安衛法は比較的知名度が低い法律だと思っています。
ですが、労働者の安全と健康を守るために、安衛法はとても重要な法律です。
これから安衛法について少しご紹介させていただきたく思います。

まず、安衛法とはなにを目的にどんなことを決めた法律なのでしょうか?

この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより、
職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
安衛法1条

つまり、安衛法は労働者の安全と健康を確保して、快適な職場環境を作るための法律、ということですね。
例えば、業務のせいで負傷したりすること(労働災害、以下労災)を回避するための制度作りや、労災が起きた時の責任を定めたりしているのが安衛法なのです。
また、職場で健康診断をしたり、職場に休憩室や談話室があったり、場合によっては仮眠室があったりするのも安衛法でそうしなさい、と定めているからなんですね。
特に、休憩室や談話室、仮眠室なんかは個人的にもとてもありがたいと感じます。
会社で過ごす時間が長い日本人にとっては、会社は生活の場でもあるので、そこが快適に過ごせる空間であることは、身体的な負担はもちろんのことですが、心理的な負担も大きく軽減させてくれます。
この快適な空間、を作るように求めている法律が安衛法なのです。
どうです?少し安衛法が身近に感じられたりしませんか?

歴史的な経緯をいうのであれば、第二次世界大戦後に労基法が出来て、その中で安全衛生に関する規制も整備されました。
しかし、それでも労災が数多く発生し、労働者の安全と健康を守ることが社会的な要求として持ち上がりました。
その結果できたのが安衛法なんですね。

もう少し詳しく見てみましょう。
安衛法は、労災などを防止するために
・危害防止基準の設立
・責任体制の明確化
・自主的な活動の促進

を謳っています。
この2つ目、責任体制の明確化がとても大事です。
もしも仮に労災が起きたとして、それが労災保険でほとんどすべてカバーされる、責任は誰が責任を負うのか決まっていない、なんていうのでは、
労災を防止しなくても(誰も、少なくとも自分は責任を取らなくていいから)別に困らないし、的な人が出てきてしまうかもしれません。
だから、責任者をしっかり定めることはとても大事なんですね。

元々労基法では使用者と労働者、という構造を持った言葉で法律を定めていました。
使用者は、いわゆる社長でなくとも、
使用者とは事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。
(労基法2条)
ことになっています。
例えば、工場長や人事部長なんかは使用者に当たります。

では彼らが労働者ではないのか、と言うとそういうわけでもないんですね。
少しややこしいのですが、労基法での労働者と使用者は一部重なっている部分があります。
例えばハンバーガーショップチェーンの店長さんなんかは使用者ですが、シフトの人員が足りない時は普通に接客したりハンバーガーを作ったりしていますよね。
こういった人は、労基法上、労働者であり、使用者でもあるわけです。

ですが、安衛法でそれをやってしまうと責任が不明確になります。
なぜなら、先程も言ったように責任者を特定しないことにはその責任が自覚されにくいからです。
ですので、安衛法では用語を変えています。
つまり、労働者と事業者(使用者、ではない)とが安衛法の法律の定める構造になります。
では、安衛法が言うところの事業者とはどんな存在なのか、というのが気になりますよね。
それは、事業を行うもので、労働者を使用するもの、が事業者になります。
個人事業主では事業主個人が事業者ですが、
株式会社なんかの法人だと、法人それ自体が事業者になります。

このように、責任をもつものを定めた上で、法基準を守るように求めたり、国の施策に対して協力するように求めていくことで、安全で健康で快適な職場環境を作っていこう、
というのが安衛法なんですね。

 


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