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■化学物質に関する規制について

機械についての安全も大事ですが、化学物質に関する規制も、安全衛生の大事な決まりの一つです。
今回は化学物質に関する規制を見て行きましょう。

昔はたとえ労働者の体に重大な影響を与える物質であったとしても、その必要性から化学物質を製造してきました。
しかし、昨今では労働者に対する影響が大きく、かつその被害に対する有効な対策が無いような物質は安衛法で
規制がされています。

以下に、その代表的な規制物質についてあげます。
もっとも規制が強いものは、
・黄燐
・ベンジジンおよびその塩
・石綿
・4-アミノジフェニルおよびその塩
・4-ニトロジフェニルおよびその塩
・クロロメチルメチルエーテル
・ベータナフチルアミンおよびその塩
・ベンゼンを有するゴムのりで、そのベンゼンの容量が5%を超えるもの
の8種類です。

これらについては、試験研究のために製造・輸入・使用する場合以外では、
その製造、輸入、譲渡、提供、使用の全てが禁止されています。
これらについては、まさに労働者に対する影響が大きく、かつその被害に対する有効な対策が無いため、非常に重い規制がかけられているんですね。

では、その他の化学物質はどうなっているのでしょうか?
これについては、そのリスクごとに対策が異なっています。
例えば、健康障害が多発することで知られているPCBやジクロルベンジジン、ベリリウムなどは、製造許可物質として指定されています。
その名前の通り、これらの物質については予め厚労省の大臣に製造許可を受けなければ、
製造することが出来ないんですね。
それ以外にも、特にリスクが高いと考えられている物質、PCBなども含めて全部で116物質は個別の規制がかかっています。

とはいえ、こういった物質の危険を知らずにその物質が含まれる品物を受け取ったりしたら
危険はないのでしょうか?
安衛法は、この点についても対応していて、危険物、有害物を譲渡もしくは提供する場合にはその名称や、
人間の体に及ぼす作用、注意を喚起するための印などの表示義務があります。
特に、この注意を喚起するための印によって、一見して危険物質がわかるというのは大事ですね。
見たことがないからわからない?
では、実際の画像をお見せしましょう。

燃えそうなものや、魚に悪そうなもの、人間の体に悪影響がありそうなもの、などなんとなくわかりますよね?
一見して危険をなんとなく察することができるという意味では、道路標識にも似ています。
これらの印があることで、本当はあってほしくないことなのですが、
その知識がない人が容器などに触ったとしても、危険が一瞥でき、気をつけることができるわけですね。
さらに、こういった物質には文書を交付する義務もついています。
この文書には、容器などには表示できないような細かい内容、例えば
物理的、化学的な性質や、流出などが発生した場合に行うべき応急措置が記載されています。

ここまでは、既にその危険性がわかっている化学物質に対する規制について述べてきました。
しかし、石綿などでもそうですが、その物質が危険だとわかっている、もしくはすぐに分かるケースは決して
多くありません。
1,2-ジクロロプロパンでも、胆管がんの多発事例があって、はじめてその危険に気が付きました。

では、私達はそういった新しいもしくは未知の化学物質に対して、
いわば人身御供を捧げなければいけないのでしょうか?
そんなことが許されて良いわけはありません。
ですので、安衛法では新規の化学物質を製造もしくは輸入する事業者に対しては、有害性の調査を行い、
ッsその知識を皆で分かち合ってすこしでも労働者の安全につながるようにその結果を届け出ることを定めています。
ただ、この規制も万全ではありません。
なぜなら、いくつかの例外規定があるからです。
その例外とは、例えば
その化学物質に労働者がさらされる危険性が無いときや、
今までの知見から、がん原性が無いことを厚生省の大臣が認めた時などです。

ですので、例えばある物質が含まれた石鹸を使ったら、消費者に健康被害が多発したとしても、
その物質に労働者が晒されていないことが製造もしくは輸入の過程上で明らかだった場合は
安衛法ではその物質についての調査義務が無いわけですね。

安衛法はあくまでも労働者の安全と衛生を守るための法律ですので、こういった決まりになっています。
ですが、その結果として消費者である我々に健康被害が及ぶことは過去の例を見ても分かる通り、ありえます。
使うものには十分気をつけて生活したいものですね。

 


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