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■安全管理体制について

皆さんは、工事の安全第一、という垂れ幕を見たことがありますか?
あれは別に法律上の定めがあるわけではないですが、やはり工事現場や建築現場なんかは事故が起きやすいので、気をつけるためにああいった垂れ幕をかけているのかと思います。

さて、安衛法では安全管理体制を確立していくことは前回述べたとおりです。
では、どういった安全管理体制を安衛法は決めているのでしょうか?
それは、事業場によって違います。
というのも、やはり事故が起きやすい事業場では厳重な体制が必要でしょうし、比較的起きにくい事業場ではそこまで厳重な体制は必要ないかもしれないからです。
具体的に見て行きましょう。

安衛法では、事業場の人数に応じて、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、そして産業医による安全管理体制を定めています。
そしてこれらのものによる委員会を開くことによって、安全管理体制を確立しようとしています。
また、人数に関係なく危険な職場では作業主任者の任命も定めています。

聞きなれない言葉がいくつも出てきましたので、それぞれの仕事について簡単に紹介させていただきます。

・安全管理者
常時50人以上を使用する建設業や運送業などの屋外業種、そして製造業や旅館業
などの屋内産業的もしくは屋内工業的な業種で原則専属の人を選ぶ義務があります。
大規模であり、かつ危険な職場では専任の安全管理者を最低1人選ばなければいけません。
安全に係る技術的な管理や危険を防止するための必要な措置を行います。
安全管理者を選ぶ際は、大学または高等専門学校で理科系等の正規課程を修了した後に、産業安全の実務を2年以上行った人や、高等学校もしくは中等教育学校で理科系等の正規課程を修了して卒業した後に、4年以上の産業安全の実務を行った人、もしくは労働安全コンサルタントなどの人を選ばなければいけません。

・衛生管理者
業種を問わず、常時50人以上を使用する事業場では、原則専属の人を
選ぶ義務があります。
非常に大きな事業場では、専任の衛生管理者を最低1人選ばなければいけません。
衛生に関する技術的な管理や、健康障害を防止するための必要な措置を行います。
また、50人未満の事業場であっても、都道府県の労働局長が必要と認める場合には、
同一地域の複数事業場が一つになって、衛生管理者を選任するように勧告されることも
あります。
衛生管理者を選ぶ際には、都道府県労働局長の免許=衛生管理免許を受けたもの、
もしくは労働衛生コンサルタントや、医師・歯科医師などの人から選ぶ義務があります。
また衛生管理免許については、衛生工学衛生管理者免許、第1種・第2種衛生管理免許があり、下位の資格では選ぶことが出来る職場が決まっている場合がありますので、ご注意ください。

・総括安全衛生管理者
屋外業種では常時100人以上、屋内産業的・工業的業種では常時300人以上、
その他の業種では常時1000人以上を使用する業種では選ぶ義務があります。
安全管理者、衛生管理者を指揮して統括管理を行います。
総括安全衛生管理者になるためには、特別の資格は必要ありません。

・安全衛生推進者
屋外業種と屋内産業的工業的業種で安全管理者を選ぶ義務がない、常時10人以上
50人未満を使用する事業場で、原則専属の人を選ぶ義務があります。
職務内容については総括安全衛生管理者が統括管理する業務と同じです。
資格については、都道府県労働局長の定める講習を受けるか、もしくは大学または高等専門学校で理科系等の正規課程を修了した後に、産業安全の実務を1年以上行った人や、高等学校もしくは中等教育学校で理科系等の正規課程を修了して卒業した後に、3年以上の産業安全の実務を行った人、もしくは労働安全コンサルタントなどの人以外にも、5年以上の産業安全の実務を行った人でも可能です。
安全管理者よりもだいぶ要件が緩和されていますね。

・衛生推進者
衛生管理者を選ぶ義務がない、常時10人以上50人未満を使用する事業場で、原則専属の人を選ぶ義務があります。
職務内容については総括安全衛生管理者が統括する業務のうち、衛生に係るものを行います。
資格については安全衛生推進者と同様です。

・産業医
常時50人以上を使用する事業場で選ぶ義務があります。常時3000人を超える場合は
2人以上を選ぶ義務があります。
常時1000人以上の事業場では専属の人を選ぶ義務があります。
職務内容については、労働者の健康保持に関する措置や作業場の巡視を行います。
医師であることに加えて、日本医師会などの厚生労働大臣が指定した研修を修了したもの、産業医科大学で行う実習を履修したもの、労働衛生コンサルタントの資格者のうち、試験区分が保健衛生であること、もしくは大学で労働衛生を担当する常勤スタッフ(教授、准教授、講師)であることなどが必要とされています。

・作業主任者
規模を問わず、特定の有害な作業を行う場合に選ぶ義務があります。
業務としては、例えば高圧室内作業やボイラー取り扱い、X線作業等が挙げられます。
職務内容については、その業務に就く労働者の指揮を行います。
資格については、それぞれの作業区分に応じて都道府県労働局長の免許を受けるか、
技能講習を修了する必要があります。

・委員会
安全委員会と衛生委員会、そしてその2つをまとめた安全衛生委員会があります。
安全委員会は屋外産業業種では50人以上、工業的業種では100人以上を使用する
事業場で開催する必要があります。(この区分は、安全管理者の区分とは違います)
衛生委員会は、業種を問わず50人以上を使用する事業場で開催する必要があります。
どちらも最低1ヶ月に1回は開催することが義務付けられています。
安全衛生委員会は、安全委員会と衛生委員会の両方を開かなければならない時に
その2つをまとめて1回の会議でそれらに代替することが出来ます。
やはり開催頻度は最低1ヶ月に1回です。
 
どうですか?ざっと見るだけでも色々とありますよね。
こういった職種の人が集まって意見を出し合うことで、労働者の安全と健康を守っていこうとしているんですね。

 


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