まずはご相談下さい!!▼▼

代表産業医池内龍太郎のFacebook•Twitterはこちら!

■機械に関する規制について

安衛法はその名前が定める通り、安全と衛生に関する法律です。
安衛法に基づいて労働者の健康をまもるために、また、快適な職場を作るためにいろいろな施策がなされているのは今まで見てきたとおりです。
ですが、例えば健康診断や職場の分煙化、といったことはどちらかと言うと衛生によったものですよね。
安衛法のもう一本の柱、安全についての具体的な定めはどうなっているのでしょうか?
 
これについては、正直非常に多岐にわたります。
ですので、今回はその中の非常に大きな一つ、機会に関する規制についてお話をしたいと思います。

産業革命の例を持ち出すまでもなく、今日の生産能力の飛躍的な発展は、機械の能力によるところだというのは皆様の共通認識だと思います。
機械とその動力を使うことで、今まで人間の力では簡単には出来なかった作業が簡単に、楽に、力強くできるようになりました。
しかし、逆に言えば機械は人間の力を大きく上回る力を持っているため、一度機械関連の事故が起きると大きな事故に発展しやすいのもまた事実です。
したがって、安衛法ではそういった機械の中でも特に危険と考えられるものについては、その規制をしています。

~製造について~
特に危険な作業を必要とする機械等として別表に掲げるもので、政令で定めるもの(以下「特定機械等」という。)を製造しようとする者は、
厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。
(安衛法37条)

~製造時の検査について~
特定機械等を製造し、若しくは輸入した者、特定機械等で厚生労働省令で定める期間設置されなかったものを設置しようとする者、若しくは使用しようとする者は、検査を受けなければならない。
ただし、輸入された特定機械等について当該特定機械等を外国において製造した者が規定による検査を受けた場合は、この限りでない。
(安衛法38条、一部変更)

~使用の制限~
検査証を受けていない特定機械は、使用してはならない。
検査証を受けた特定機械は、検査証とともにするのでなければ、譲渡し、又は貸与してはならない。
(安衛法40条、一部変更)

他にも色々な定めがありますが、上で見てわかりますように、
特定機械は製造するのに許可が必要で、さらに製造もしくは輸入もしくは使用の前に検査が必要で、
さらにその検査の証明書がなければ他人に譲渡、貸与が禁止されているわけです。

先日(2014年6月)安衛法が改正されましたが、その改正の一部については、まさにここに関わってきます。
つまり、今までは海外で製造され、輸入された機械については、一部の機関以外での検査については(質の担保が出来ないこともあって)認められていませんでした。
ですが、昨今のテクノロジーの発展などにより、特定機械の不良品は減ってきたであろうことが考えられ、今まで認定された以外での海外機関であっても不良品の排除さえできるのであれば、品質は十分に確保できる可能性が高い、
と偉い人達が思った事が今回の安衛法の改正につながったわけですね。

では、そんな特定機械はどんなものがあるのでしょうか?
これは現段階で8種類指定されています。
それぞれ
・ボイラー
・第一種圧力容器
・3トン以上(倉庫の天井などに設置する一部のものについては1トン以上)のクレーン
・3トン以上の移動式クレーン
・2トン以上のデリック
・1トン以上のエレベータ
・18メートル以上の建設用のリフト
・ゴンドラ

です。
要するに
爆発するかもしれないもの、物が落ちたりするかもしれないもの、機械自体が落ちるかもしれないもの
ということですね。

それでは、それらの特定機械はどんな検査を必要とするのでしょうか?
検査のタイミングには大きく分けて、製造時もしくは輸入時、設置時、さらには使用時の3種類があります。

ボイラーと第一種圧力容器については非常に厳しく、製造した時には構造検査及び溶接検査、または製造検査を課されます。
それ以外の時、例えば輸入時や設置時については使用検査を必要とします。
これらの検査については、各都道府県の労働局長の権限で行われます。
それ以外の特定機械、例えばクレーンやエレベータなどについては、移動式のクレーンとゴンドラ以外では製造時の検査はありません。
ただし、それ以外の特定機械についても、設置した時や、変更を加えた時、使用を再開した時などは労働基準監督署長の検査を受ける必要があります。

こういった検査を終了すると、それぞれの検査を行ったもの(労働局長や労基署の署長)が検査証を発行し、晴れて使用許可が降りるわけですね。
この検査証がないと使用はもちろんですが、譲渡や貸与についても行ってはならない、と言うのは前回述べたとおりです。

では、特定機械以外の機械についての制限は無いのでしょうか?
これもそんなことはありません。
危険または有害な作業を必要とする機械や、危険な場所において使用する機械、
さらには危険または健康障害を防止しようとする機械については、性能や安全を担保する規格または安全装置を備えていないと、これもやはり譲渡や貸与、さらには設置についても制限があります。
これらについては、個別検定や型式検定を行い、合格することでその制限が解除されます。

また、動力によって動く機械は、常に巻き込みとそれによる労働災害の危険が存在します。
ですので、作動する部分の突起物や動力伝導部分などに防護の装置がついていないものは、
これもやはり譲渡や貸与、さらには展示についても制限があります。

さらに、検査機関で行う検査以外にも、ボイラーやフォークリフト等、危険な機械については、事業者が定期的に自主検査をしなければいけません。

このように、機械についてはいくつもの安全策が施され、それを通ったものしか使えないようにすることで、労働者の安全を確保しようとしているんですね。


 トップページに戻る