■就業規則について

皆さんは就業規則を見たことがありますか?
そもそも就業規則ってなんでしょうか?労働契約となにが違うんでしょうか?

就業規則とは、就業するにあたって、対象とする人をみんな一律にする範囲とその内容について決めた規則のことです。
労働者の人数が多くなると、それぞれについて細かい条件を全部決めて契約に書くのは大変ですよね。
特に始業時間だとか、労働者が守るべき規律だとかの内容は同じ事業場であれば大体が同じようなものであることがほとんどです。
だから、その具体的な内容について明文化して、使用者と労働者のみんながそれを守っていくのが就業規則です。

そんな就業規則ですが、労基法上は作成と届出の義務があるものとして位置づけられています。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、それぞれの事業場ごとに、就業規則を作成し、届け出をしなければいけません。
また、就業規則は必要があれば変更するのですが、この変更についてもやっぱり届け出をする必要があります。

さて、では実際に就業規則を作るにあたって、もしくは見るにあたって気をつけることはなんでしょうか?

まず、就業規則を作り、変更するためには、労働者の過半数の組合もしくは過半数の労働者の代表と話し合う必要があります。
そして、その意見を書類にまとめて就業規則に添付した上で、監督署に届け出をするんですね。
この時、労働者の意見を聞く必要はありますが、その意見を反映させる必要はありません。
例えば労働者の代表が、給料は一ヶ月100万円ほしい、と言ったとしても、意見を聞く必要はあるけれども、従う必要は無い、ということですね。

そうやって作られた就業規則を、いつでもだれでも見られるようにしておく(周知させる)と、就業規則として有効になるわけです。
昔だったら掲示板に備え付けておく、最近だったら社内のLANでつながるところに置いておく、なんていうのが多いですよね。

次に就業規則の見るべき、書くべき内容についてですが、
これも法律で決められています。
就業規則には絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項があります。
労働契約とよく似ていますね。

このうち、絶対的必要事項としては例えば
始業および終業の時刻、休憩時間と休日、休暇についてなどの時間に関する規定や
賃金の決定方法とその支払い方法、退職及び解雇に関する事項について
なんかが挙げられます。

相対的必要記載事項については、それ以外の内容、
例えば退職金ですとか、その他の臨時の賃金や職業訓練についてですとか、
基本的には事業場の労働者全てに対して適用されることについては、決めたなら書かなければいけません。

では、そうやって作られ、変更された就業規則に労働者に対してすごく不利なことが書いてあったらどうすればいいでしょうか?
これについては、2つの規制があります。
1つ目は、法律の規制です。
例えば、就業規則で給料は1ヶ月160時間勤務で10万円(総支給額面)だ!なんていっても
労基法(と最低賃金法)に違反していますよね。
だから、そういった規則は無効になり、労基法(最低賃金法)の基準がそのまま適用されます。

2つ目は、既に結んだ就業規則よりも不利になった場合の規制です。
例えば、今まで営業手当が一ヶ月5万円ついていたのに、営業手当が廃止されることもあるかもしれません。
これについては、原則として今まで働いていた個々の労働者の合意が必要になります。
ですが、変更内容が合理的なものである場合にはその適用が許されないというわけでもありません。
要するにケースバイケースで判断される、ということですね。

労働者にとって納得して働くためにも、合理性のある就業規則を整備したいものですね。


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